トップ・キャラクターの歩み

Breeding Policy

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トップ・キャラクターの歩み

第1章 出会い(1)

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私が初めてボストン・テリアと出会ったのは今から30年近くも前の事です。その犬は決して健全といえる子ではありませんでした。誰も最初からブリーダーになろうと思って犬を飼い始めるわけではありません。私とボストン・テリアとの関わりもそんな感じでした。

最初の子は「ベス」、たまたま通りがかったペットショップで見つけました。いかにも売れ残りの様子でガリガリに痩せいて、その上皮膚病まで患っているようでした。あまりにもかわいそうになったので連れて帰ることにしたのです。

第1章 出会い(2)

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ベスは正直いって最悪の犬でした。「性格は悪いし、噛むし、私以外の人は一切寄せ付けない。」しかも、次から次へと出てくる大小様々な病気・・・。ベスと暮らした8年間は毎日が勉強、そして、試練だったと思います。でも、当時はベスのようなボストン・テリアが当たり前でした。多頭飼いは出来ないし、他の犬と遊ばせるなんてもってのほか。獣医さんに連れて行っても嫌がられたものです。

しかし、ベスとの暮らしの中で1つ1つの困難を乗り越えて行くたび、ときたま垣間見せる豊かな表現力や愛情深さに、出来ることなら健康で性格の良いボストン・テリアを将来自らの手で作り出したいという思いに至らせることになりました。そしてそれは「無謀」という名の扉を、自らノックしてしまった第一歩ともなるのです。

第1章 出会い(3)

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当時のボストン・テリア事情の中、ベスが2歳の時に性格の穏やかなマミが私の2頭目のボストン・テリアとなりました。マミは2歳の時私に4頭の子犬を授けてくれます。その中の1頭は性格も可愛く、体躯のしっかりとしたクリスです。この子がトップ・キャラクターの原点です。もう1頭のアリサも少しクリスに比べると小振りでしたが、性格がたいへん穏やかな子でした。

4頭を6か月まで手元に残し、性格や発育を見ながら育てて行くうちに実に様々なことが見えてくるようになりました・・・。やはり後の2頭は性格に多少の問題がありました。避妊と去勢をして、説明をし知り合いに譲り渡す決断をしました。

第1章 出会い(4)

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クリスやアリサのような子が生まれると、またその子たちの子供が見たくなりました。人伝えに一生懸命オスを探しました。もちろん性格の良い子をです。そしてクリスが2歳の時に生まれて来たのが

初代チャンピオン、アフロディーテ. オブ. トップ. キャラクターです。

アビサと名付けた彼女は、愛らしい容姿と性格で一世を風靡しました。そしてアビサの思いの外高い評価は、私にブリーディングの面白さを教えてくれました。

第1章 出会い(5)

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当時、私が不思議だったのは「何故、こんなに可愛いのに頭数が居ないんだろう?」ということでした。調べてみると、やはり気性の荒さが災いして、飼いにくい犬種という印象を持たれていた様です。

「性格が良くなければ、家庭犬としては飼えない。」それならば誰からも愛され、親しまれるボストン・テリアを作りだそう!私は本格的な勉強を始めました。しかし、今のようにインターネットがあるわけでもなく、資料ひとつ集めるにも大変な思いをすることになります。性格の良い血筋の選択、過去6世代を研究し、選別交配を繰り返し、8年の歳月をかけ性格の改良をしていきました。

しかし、また新たな課題が出てきます。

第2章 新たな課題の克服に向けて(1)

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ボストン・テリアと暮らし始めて10年を迎えようとしたとき、新たな血統の必要性に迫られました。しかし、当時の日本では不可能でした。原産国のアメリカに頼るしか術はない。しかし、どうすれば良いのかもわかりませんでした。でも、人は懸命になると誰かが手を差し伸べてくれるものだと知りました。

ある方の努力で、初めてのAM.CH. Bob Woody Bully Specialが私の息子になります。彼の素晴らしい骨量とテンペラメントは日本のボストン・テリアにはないものでした。

第2章 新たな課題の克服に向けて(2)

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しかし、1頭種オスを持ってもすぐに一巡して近親になってしまいます。そして、Bullyの子犬たちの足らない部分を補える血液が欲しくなります。もう、その頃はまるで麻薬中毒患者状態だったと思います。そして、宝くじに当たったかの様に3年連続No.1のAM.CH. Mike-Mar's Turly Specialが私の息子になりました。初代Teddyです。

彼は日本のショーに於いても一世を風靡し、正に君臨しました。そして、一年後にAM.CH. Maestro's Kool Kid Miff (Brendy)が、正に理想のHedを持ち来日することになり、この3頭のオスたちの血液がトップ・キャラクターラインの基礎を築いていくこととなるのです。

第2章 新たな課題の克服に向けて(3)

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神様は残酷なことがお好きなようで、未知の課題を私に与えます。それは隠れた血統上の弱点(遺伝性疾患)でした。この課題を前に、繁殖学、獣医学が必須となり、正にあの頃は毎晩徹夜状態で勉強をし著名な獣医師を訪ね教えを乞いました。その頃に知り合ったのが狭山のS先生です。非常に熱心なS先生は当時某有名先生の代診先生でした。たいへん忙しい中、夜中2時・3時まで私に付き合ってくれました。今でも親友(向こうは多分厄病神と思ってると思いますが)です。

血統上の弱点とは、Bully、Teddy、Brendyが悪いというわけでも、私の雌たちの問題でもなくホモとヘテロのいたずらです。でも、いたずらだと見過ごすことはできず、淘汰しなければならない重要課題なのです。私はこの課題克服の旅に踏み出します。

第3章 終りのない旅の始まり(1)

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このあたりで、愚かな私は自分がノックした扉の重さを思い知ります。まさに蟻地獄にはまったという感じでした。これはアメリカしかない。蟻地獄から抜け出そうと何度も何度もアメリカへ、このころの私はアメリカオタクのようでしたが、何度足を運んでも結局私は異邦人扱いでした。

それは良く判ります。大いに理解できます。どこの馬の骨か分らない人間に大切な我が子を売れるはずがない。当然です・・・。

第3章 終りのない旅の始まり(2)

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しかしながら私には越えなければならない重要課題が残されています。こうなったら私がボストン・テリアの真のブリーダーであることを認めてもらうしかない。私は私が作った子たちをアメリカに送る一大決心をします。評価を受け、ブリーダーであることを認めてもらうために。

しかしながら当時はAKCがJKCを認めていませんでしたので私はJKCに進言をします。「犬種発展のために、なんとしてでもJKCの登録犬をAKCに認めて貰えるよう交渉をしていただけないか?」それは日本における犬種の発展のためであり、私にとっても必要なことでした。

第3章 終りのない旅の始まり(3)

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ある日、AKCがJKCの血統書を持つ犬を認めるという情報を得た私はAKCが認めた明くる日にアメリカのブリーダーに認めてもらうための第一陣としてJinとMeikoをアメリカに送り出します。JKCが驚くほどの電光石化の早業でした。

アメリカ原産犬であるボストン・テリアは、やはりアメリカのブリーダーの影響力がすごい。本当にすごいのです。私は5年パスポートが増刷で3冊になるほどアメリカ詣でをしましたが、その度に彼らのプライドと信念に触れ計り知れない凄いものを感じていました。果たしてJinとMeikoが通用するか?どこまでいけるか?乗るか、反るか?まるで博打です。

第3章 終りのない旅の始まり(4)

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JinとMeikoは博打に勝ちます。私が思った以上の評価を勝ち取ります!JInは僅か3ヶ月で全米ランキング4位、ウェストミンスター、Award Meritを獲得、MeikoはCA.3大ショーのビバリーヒルズのショーでG3を獲得し、私はボストン・テリアのブリーダーとして認めてもらうことができました。

でも、やはり根強く残るのは私のプライドそして課題の克服でした。私は次から次へと、まるで取りかれたようにセレクトした子たちを送り続けました。それは、私の抱える課題の克服のためにはどうしても必要な事でした。私が求める血液は、あちらから云ってくるFor Saleの犬ではありませんでした。私が当時持っていたボストン・テリアたちの課題クリアのために、そして、私の作った犬たちの原産国での評価という欲の2本立てでした。

第3章 終りのない旅の始まり(5)

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私の切り札Linasがアメリカに渡りました。僅か生後4か月のLinasを膝に抱きアメリカに行ったのがまるで昨日のことのように想い出します。そして、彼はいつしかボストン・テリアの原産国アメリカにおいて伝説の名犬となりました。Linas Top Character's Last Emperor FCI

ボストン・テリアに救われ、助けられ、多くのアメリカのブリーダーが協力してくれることになりました。しかし、このブリーディーングという名の旅は、この時点でやっとスタートラインに立てただけだと思い知ることにもなりました。

第3章 終りのない旅の始まり(6)

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JinとMeikoのお陰で当時のCA.のトップ. ブリーダーMrs. Sue Kenedyと親しくなれました。今でも、彼女とは大の仲良しで会えば色んな話に花が咲きます。Linasの評価はついに私のブリーダーとしての評価となり、アメリカにおいても仲間として認めてもらえるようになりました。

ここからが正念場です!隠れ持つ影の部分を探り改良していくことができなければ、この旅の意味がないのです。「どこまで本音を聞けるのか?」まさしく薄氷を踏む思いで、アメリカのトップブリーダーたちから話を聞き出そうとします。が、案に相違して、あっけらかんと話をしてくれました・・・。余りの簡単さにあっけに取られ、逆に訊ねたら「あなたは本当のブリーダーだ。だから同じ悩みを持つ以上、一緒に解決するべきだし協力もするのが当たり前だと思う。」

第3章 終りのない旅の始まり(7)

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何人ものトップブリーダーから同じ答えが返ってきました。

やはり彼らも同じ事で悩み、そして、解決方法を模索している。

真剣に向き合えば向き合う程に悩みはついて回るのです。

そして、その中身と膨大さに悪戦苦闘をする日々がつづきます。

第4章 小さな戦士たち(1)

little soldier

どの子たちも日本のボストン・テリアの為に海を渡り来てくれました。そして、今もこの子たちの生きた証は脈々と引き継がれています。そして、今後も引き継がれて行くことでしょう。この子たちはまさしく私と共に大変な道のりを歩んでくれた戦士なのです。

この他にあと3頭のAM.CH.が海を渡り来てくれましたが、のちにアメリカのブリーダーの元に帰ってもらいました。血統は申し分なかったのですが、私の望む改良が出来なかったからです。それは、この子たちの責任ではなく、遺伝子の奥深さの問題なのです。日本にいるよりは元に戻した方が幸せであろうと判断をしました。犬の幸せを考えたらそれが最良の方法で、あちらでは子孫を残せるのですから・・・。

  • AM.CH. Bob Woody Bully Special
  • AM.CH. Mike-Mar's Turly Special
  • AM.CH. Mastro's Kool Kid Miff
  • AM.CH. Al-Mar A Storm Is Rising
  • AM.CH. Ken's Calamity Jane
  • AM.CH. Chanette's Enchanted Dream
  • AM.CH. Jordan's Jasta Fax By Al-Mar
  • AM.CH. Mike-Mar's I Am Special
  • AM.CH. Aslandia's The Fugtive
  • AM.CH. Irondale's Jast Do It
  • AM.CH. Vierras Royal Design By Elbo
  • AM.CH. Irondales Early Editin

第4章 小さな戦士たち(2)

little soldier

新たな一ページの為にはるばる海を渡ってきてくれた小さな戦士たちは、次の時代をどう築いていくのでしょう。次から次へと課題とチャレンジは果てしなく続くのです。

私は、私のために海を渡った戦士たちに心から感謝しています。

  • AM.CH. CAN.CH. INT.CH. JKC.CH. Marty
  • AM.CH. JKC.CH. INT.CH. Dasty
  • AM.CH. JKC.CH. Cadi
  • AM.CH. Tuker
  • CAN.CH. Sonny

第4章 小さな戦士たち(3)

little soldier

彼らが果たしてくれた役割は、実に偉大だったとしか言いようがありません。

しかし、一番偉大なのは、決してスポットライトが当たる場所にはいませんでしたが、その積み重ねた血液を正確に自らの子供たちに託し続けたメスたちでしょう。

それらは、今後も捻じ曲げられる事なく、より正確に、また改良されながら脈々と引き継がれて行かなくてはなりません。小さな戦士たちは、これからの新たな1ページを作ってくれるはずです。共に歩みながら。

  • AM.CH. INT.CH. JKC.CH. Teddy
  • AM.CH. JKC.CH. Jin
  • AM.CH. INT.CH. JKC.CH. Meiko
  • AM.CH. INT.CH. JKC.CH. Linas
  • AM.CH. CAN.CH. INT.CH. JKC.CH. Melmo
  • AM.CH. INT.CH. JKC.CH. Striker
  • AM.CH. CAN.CH. JKC.CH. Casper
  • AM.CH. INT.CH. JKC.CH. Woody
  • AM.CH. INT.CH. JKC.CH. Teresa
  • AM.CH. INT.CH. JKC.CH. Sindy
  • AM.CH. INT.CH. JKC.CH. Ako
  • AM.CH. CAN.CH. Kurumi
  • AM.CH. Mari
  • AM.CH. Sara
  • AM.CH. Tonny
  • AM.CH. Blacky
  • AM.CH. Hanny

第5章 終りはない(1)

For The Future

気がつけば私は人生の半分以上をボストン・テリアたちと暮らしてきたことなります。生があれば死があって。しかし、どの子たちも自分が生きて、そして共に歩んできた足跡を残し、その役目を全うして逝きました。孫やひ孫たちに、その面影を確かに見ることができます。そしてまた、その面影を求め、終わりのない旅は続いているのです。

第5章 終りはない(2)

For The Future

スタンダードという言葉には、たくさんの定義がありますが、ボストン・テリアのスタンダードに限っていえば、それは唯一「どのくらい資格条件を備え、優秀性もしくは完成度が高いか」ということです。ブリーディングやスタンダードには、解釈上の議論の余地がほとんどありません。唯一のバージョンがあるのみです。

それは我々の解釈ではなく、そしてあなたの解釈でもなく、正しい解釈はただ1つです。

第5章 終りはない(3)

For The Future

ボストン・テリアのスタンダードは12のセクションから構成されています。それはブリーディングには大切なものとなっています。もし、将来または現在ボストン・テリアのブリーダーを目指している人や多少なりともブリーディングにたずさわっている人は、最低限のルールは守るべきだと私は考えます。過去において、国を問わず多くのブリーダー達が努力に努力を重ね、また年月を費やし守り育ててきたものを、何の理解もせず、営利のみの目的や、ただ可愛いから、好きだからという理由のみでブリーディングし、本来の姿やテンペラメントを消してしまった個体をつくりだしては、決してボストン・テリアのためにはならないのです。真にボストン・テリアを愛し、そして信頼するならば、ペット用、ショー用の区別なく、せめてスタンダードの定義くらいはしっかり理解してブリーディングをするべきです。

第5章 終りはない(4)

For The Future

私の最も愛すべき言葉として、アメリカのボストン・テリアのブリーダー、Mr.ジョゼフ・バルマーが何十年も前に美しい言葉でこう語っています。

「私たちは過去を受け継ぎ、未来に託すものである。」と。

この言葉を思い出すたび、現在の私たちは未来への通過点でしかないと気持ちを新たにします。一通過点である私たちは、それをねじ曲げたよくない形で未来に託してはいけないのです。スタンダードとはブリーダーを保護し改善する手助けなのですから、私たちがなすべき事はそのスタンダードを深く理解し守り続けることが最低限の義務だと思っています。

第5章 終りはない(5)

For The Future

「ボストン・テリアは活発で、高い知性、なめらかな毛並み、短い頭、コンパクトにまとまった全体、短い尾を持ち、ブリンドル、シール、あるいは黒いカラーで均一な白い模様を持っている均整のとれた犬である。頭部はイヌのサイズと均整がとれていて、その表情は高い知性を示している。」

そして「ボストン・テリアは友好的で愛らしい犬種である。飼育者が素晴らしい気質と最高の知性を持っていれば、ボストン・テリアは並ぶ者のない最良の伴侶となる。」(アメリカナショナルクラブスタンダードより)

ボストン・テリアのブリーダーなら、最低このくらいの理解は示して、ブリーディングに臨むべきではないかと思います。未来のために・・・。